代表からのメッセージ

未就学児の発達支援を検討している保護者様へ

変わりゆく児童福祉を取り巻く状況について

2013年の法改定により、児童発達支援事業所の開設が以前より容易になり、多くの民間企業が福祉分野へと参入するようになりました。現在も事業所の数は増加していますが、指定要件は建物設備や職員数などの形式面にとどまり、支援の「質」に関する明確な基準は存在していません。
さらに、2024年からは制度の見直しにより、すべての事業所に「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域すべてに対応することが求められるようになりました。
この影響で、「運動特化型」や「身辺自立型」といった”お預かり”に近い特徴を持つ数多くの事業所も「すべての領域に専門性がある」とうたうようになり、結果的に各事業所の専門性や支援内容の実態を見極めることは、以前にも増して難しい時代となりました。

私たちの考える親御様の使命:お子様にとって最良の環境を選ぶこと

このような時代の中でも、「お子様にとって最良の環境を選ぶこと」は、変わることのない親御様の大切な使命です。
特に就学前の時期は、お子様のその後の人格形成にも大きな影響を与えるとされており、その貴重な時間をどう過ごすかは、ご家族の人生にとっても重要な選択であると私たちは考えています。

本メッセージが、皆様のその選択の一助となることを願い、以下にいくつかの視点をお伝えさせていただきます。

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「どの事業所を選べばいいの?」「専門家と書いてあるけど、具体的に何の専門家?」「聞く人によって意見が違うみたい…」等、多くの悩みがある事でしょう。

事業所選択の目安 1. 「どんなスキルを伸ばしたいのか」を明確にしましょう

通所の目的が、「お子様のスキル向上」なのか、「一定時間預かり」なのかによって、選ぶべき事業所は異なります。スキルの向上が目的であれば、「どのスキルを」「どの段階から」育てたいのかを明確にすることで、適切な事業所が見えてきます。
たとえば:

• 言語・コミュニケーション遅延、社会性発達遅延、行動問題には、心理的アプローチに専門性の高い事業所が適しています。中でも行動分析(ABA)に基づく手法は効果が証明されております。(ABA事業所の中でも、決まった手法にお子様を当てはめるのではなく、目標によって数ある手法/アプローチの中から最適の手法を選択できる事業所は質が高いと言えるでしょう。)コミュニケーション自体に問題はないが、特定の音の明瞭性に問題がみられる場合は言語聴覚士が在籍する事業所がお勧めです。

• 学習面のサポートが必要な場合は、お子様毎に異なりますが、概して心理アプローチ及び認知領域に専門性の高い事業所が有効です。

• 運動面の発達を目指すのであれば、作業療法士や理学療法士が在籍する児童の身体的発育に知識が深い、運動プログラム中心の事業所が望ましいでしょう。参加が難しいようであれば心理アプローチが有効です。

どの領域においても、基礎スキルの習得には個別支援が、同年代間における応用スキルの育成には集団活動との組み合わせが効果的です。制度上はすべての事業所が「5領域に対応」となっていても、実際の知識や支援内容を含めた専門性には大きな差があります。お子様の目標と、その事業所の専門性が本当に合っているか、しっかりと見極めましょう。

事業所選択の目安2. 面談で「専門性」の有無を確認しましょう

どの領域であっても、専門性の高い事業所には次のような共通点があります:

① 個別性に基づいた支援設計
決まった活動に子どもを当てはめるのではなく、一人ひとりの目標・特性・スキルに応じた目標設定、及びエビデンスに基づいた支援がなされている。

② 具体的な手法と説明
「笑顔を増やす」「自信を育てる」など抽象的な表現ではなく、その領域における発達の道筋や使用する支援手法、及びその根拠を保護者に明確かつ具体的に説明できる。

③ 支援の効果を「データ」で確認
活動記録だけではなく、指標(スモールステップの目標到達度や試行ごとの測定など)を用いる事で客観的に効果を確認している。

数ある事業所の中から、確かな専門性に裏打ちされた支援を提供できる事業所を見極めるのは、決して簡単なことではありません。それでも、私たちはその選択を真剣に考えるご家族の皆さまに寄り添い、少しでも力になれればと願っております。

私たちの考える事業所の使命:限られた時間に、確かな効果を届けること

通所に費やす時間は、お子様にとってもご家族にとってもかけがえのない貴重な時間です。私たちは、その時間とご家族の想いに確かな効果で応えることこそが、事業所としての使命であると考えています。

私たちの事業所では、「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の領域において、行動分析学に基づく専門的な知見と実践経験をもとに、お子様とご家族の「こうなりたい」を支える支援を行ってまいりました。これからも、皆さまの大切な時間と想いにしっかりと向き合いながら、効果ある療育を届けてまいります。

皆様のご判断の一助となりましたら幸いです。

 

LOOKMUM代表
BCBA 認定行動分析士
藤井 直喜